薬学部1〜2年生でやっておくべきこと
――基礎とつながりが、あなたの6年間を支えます
はじめに|薬学部1〜2年生の「今」が未来をつくります
薬学部の6年間は、始まってみると驚くほどあっという間に過ぎていきます。
とくに1〜2年生は、高校までとは比較できない量の基礎科目に触れ、「この先、本当にやっていけるのだろうか」と不安を抱く方も多い時期です。
一方で、薬学部には他学部にはあまり見られない特長があります。
薬学生だけで構成された部活・サークル、学年コミュニティが充実しており、先輩・同期・後輩が自然に交流できる環境が整っている点です。
これらの「つながり」は、勉強・進級・実習・就活まで、学生生活のあらゆる場面で大きな助けになります。
本記事では、実体験も交えながら、1〜2年生のうちに身につけておくと後がぐっと楽になることをわかりやすくまとめました。
薬学生が1〜2年生で整えておきたい3つの軸
-
学習習慣の確立(基礎の底上げ)
-
情報整理・ノート管理スキル
-
コミュニティ形成(先輩・同級生とのつながり)
薬学部では、専門性の高さ・試験の多さなど、勉強面のハードルが他学部より高く設定されています。
そのため、早い段階でこの3つの軸を固めておくと、3〜6年生での実習・研究・CBT対策・国家試験対策が格段に楽になります。
① 基礎の学習習慣づくり
――1〜2年生の「物理・化学・生物」が未来の理解力を左右します
薬学部で学ぶ専門科目は、1〜2年生の基礎科目を土台として成り立っています。
-
有機化学
-
生化学
-
物理化学
-
物理学
-
解剖・生理学
これらを「試験前にまとめて覚える」だけで乗り切ってしまうと、3〜4年生で学ぶ薬理学・薬剤学・病態治療学などが一気に難しく感じられます。
とくに押さえておきたい「物理・化学・生物」
これら3科目は、薬学のすべての専門領域のベースです。
化学(有機化学・物理化学)
→ 薬の構造・作用機序・代謝・相互作用などに直結。
生物・生化学
→ 病態の理解、薬理作用、細胞レベルの変化をつかむための基礎。
物理学・物理化学
→ 溶解度、拡散、pH、平衡、輸送など薬剤学の本質的理解に不可欠。
1〜2年生のうちに“考え方”を軽くでも押さえておくと、3年生以降の勉強が「理解で覚える」に切り替わり、負担が大幅に軽減されます。
「触れるハードルを下げる」勉強法がいちばん続く
長時間勉強を目標にすると続きません。
おすすめは、毎日15分だけ教科書やノートを開く習慣をつくることです。
-
授業後にさらっと読み返す
-
図やグラフだけ見直す
-
キーワードにマーカーを引くだけでもOK
小さな積み重ねでも、知識同士がつながる感覚が増えていきます。
【体験談】1日15分の復習が薬理で効いた話
1年生の頃、私は代謝経路がほとんど覚えられず、試験前の“詰め込み型”の勉強で乗り切っていました。
しかし、2年生から授業後に15分だけ復習を続けたところ、3年生の薬理学で「これ、前にも見たことがある」と自然に理解が追いつく場面が増え、負担が大きく減りました。
薬学の勉強は“後から効いてくる”タイプの努力が大きいのだと実感しました。
つまずいたときのリカバリー方法

もし基礎を十分に触れられなかった場合でも、まだ十分に巻き返せます。
-
長期休みを使って集中的に復習する
有機化学・生化学は優先度高め。 -
教科書の目次から“分からない箇所だけ”拾い読みする
全部やり直す必要はありません。 -
YouTube講義や参考書で理解を補う
教科書が合わない場合は別教材も活用する。
② 情報整理スキル
――勉強量に負けないための「仕組み」を作る
薬学部では、科目数・試験数・資料量が多く、「どこに何があるか分からない」という状態が起こりがちです。
そこで大切になるのが、情報を整理する仕組みです。
ノートは「きれいさ」よりも「検索しやすさ」
おすすめの方法は以下の3つです。
-
講義1つにつき1ページの要点メモ
キーワード、重要な図、先生が強調したポイントだけを整理。 -
過去問・演習問題は1冊(1フォルダ)に集約
「この問題、前にも見た」という気づきが増えます。 -
デジタルツールを併用する
Notion、OneNote、Google Driveなどで資料を一元管理。
1〜2年生で整理したデータは、CBT前に“自分専用の参考書”になる大事な資産になります。
【具体例】紙+クラウド運用のメリット
私は授業で紙のルーズリーフにメモを取り、後からスマートフォンで撮影してGoogle Driveに保存していました。
-
自宅では紙でじっくり復習
-
移動中はスマホで資料を確認
というスタイルにすることで、「ちょっとしたスキマ時間にも復習できる」ようになり、効率が上がりました。
③ 薬学部最大の強み:先輩とのつながりをつくる
薬学部には、薬学生だけのコミュニティや部活が多く存在します。
-
スポーツサークル
-
学術系の学生団体
-
研究室主催の勉強会
いずれも薬学生だけの安心できる空間で、授業・試験・実習・就活など共通の話題で相談しやすい環境があります。
つながりから得られるのは「過去問」だけではありません
もちろん、正規のルートで先輩から資料を共有してもらえる場合もありますが、もっと価値が大きいのは先輩の経験そのものです。
-
自分に合った教科書・参考書の情報
-
試験対策のコツ、先生の出題傾向
-
研究室の雰囲気や特色
-
実習の過ごし方(スケジュール・注意点)
-
企業/病院/薬局など進路ごとのリアルトーク
-
バイトと勉強の両立方法
理解の深さは、過去問だけでは補えません。
先輩の“生の経験”が何よりの教科書になります。
※過去問の扱いは大学・担当教員の方針によって異なります。必ず正規の方法で入手し、理解の確認に利用しましょう。
【体験談】もっと早く先輩とつながっておけばよかった

私は当時、アルバイトや自分の勉強が中心で、同級生からの情報で何とかしていました。
しかし、先輩と頻繁に交流していた人のほうが、試験対策も就活準備も明らかに進めやすそうだと感じる場面が多くありました。
今振り返ると、もっと早く先輩へ話しかける勇気を持てばよかったと強く感じています。
先輩への声のかけ方(例)
-
「○○先生の授業って、どんな雰囲気ですか?」
-
「テスト対策は、何から始めるといいですか?」
この2つだけでも会話は自然と広がっていきます。
他学部と比較しない
――薬学部は“別の土俵”です
薬学部では、
-
筆記試験中心の授業が多い
-
実習・レポートが重い
-
覚える量が圧倒的
-
進級判定が厳しい大学もある
といった特徴があるため、他学部と比べても“負荷の質”が全く異なります。
試験期間に遊んでいる他学部の友達を見ると落ち込むこともあるかもしれませんが、そもそも立っている土俵が違うことを忘れないでください。
勉強も遊びも大切に
――「要領の良さ」は誰でも身につけられる
私の周りには、サークルやバイトを全力で楽しみながら、成績も上位にいる先輩がたくさんいました。
一見「才能」に見えますが、話してみると大半の人は、
-
自分に合った勉強サイクルを確立している
-
ノートや復習にルールがある
-
試験前に「やらないこと」を決めている
など、習慣と工夫で無理なく結果を出していることが分かります。
身近に「できる人」がいる場合は、一言アドバイスを聞いてみるのも大きなヒントになります。
バイトと勉強の両立について
薬学生でもアルバイトをしている人は多いですが、ほとんどの人が試験前にはシフト調整をしています。
向いてるバイト
-
塾講師・家庭教師(調整しやすい・時給が高い)
-
ドラッグストア(知識が現場で活きる)
-
短期・単発バイト(試験期間に合わせやすい)
注意したいバイト
-
深夜帯中心の仕事
生活リズムが崩れやすく、薬学部の勉強量とは相性が良くないことがあります。
メンタルケアも「勉強の一部」
薬学部は、真面目な学生ほど負荷を抱えやすい傾向があります。
長く学び続けるためには、メンタルケアも欠かせません。
-
散歩やストレッチなど軽い運動で気分転換
-
十分な睡眠を確保する
-
友人との雑談で「自分だけじゃない」と感じる
-
比較しやすい人は試験前だけSNSを控える
すべての科目で完璧を目指す必要はありません。
「まずは70点をとる」くらいの気持ちで取り組むことが、燃え尽き防止につながります。
おわりに|小さな一歩が、未来のあなたを助けます
薬学部1〜2年生の時期は、基礎科目に追われがちな一方で、
これからの6年間の“土台”が形づくられる重要な時期でもあります。
焦る必要はありません。
今日からできる小さな一歩――
教科書を15分開く、ノートを1ページ整理する、先輩にひと言質問してみる。
その積み重ねが、数年後の自分を大きく助けてくれます。
あなたの薬学生生活が、ほどよく大変で、ちゃんと楽しくて、
「この道を選んでよかった」と感じられる6年間になりますように。