薬学生必見! 実務実習前に準備しておくべきこと5選
今回は、薬局実習と病院実習を経験した現役薬学生の方に、実務実習に向けて事前に準備しておくべきことをインタビューしました。忙しい実習先だったからこそ気づけたポイントを、実体験をもとに詳しく語っていただきます。
Q 実習に向けて最初に準備しておくべきことは何でしょうか?
Aさん:
まず伝えたいのは、SOAP形式の書き方を理解しておくことです。薬局でも病院でも、患者さんに服薬指導をする機会は必ずあります。忙しくない薬局だと3か月で10件あるかないかですが、私は薬局で400件以上、病院では10件から20件ほど経験しました。その度に必ずカルテを記載するため、SOAPの理解は実習を乗り切る上で非常に重要です。
薬剤師は薬を探して渡すだけではありません。薬の説明を行い、患者さんの体調を確認し、処方された薬が本当に適切なのか、副作用は起きていないか、他院で受け取った薬との併用で問題がないかなど、さまざまな視点から確認します。その内容を次回の服薬指導に活かすため、SOAPへの正確な記載が欠かせません。
私は初めの頃、説明に必死で聞き取るべき内容を忘れることが多く、SOAPを書くのに苦戦しました。Sでは患者さんから聞き取った内容を書きますが、質問内容を整理しておくこと、聞けたことをすぐメモすることが大切だと実感しました。Oは検査結果など客観的な数値を書くため、血圧やHbA1cなど必要な項目を理解しておく必要があります。
Aは最も難しく、患者さんの状況から考えられることを書きます。副作用の可能性や症状の改善傾向など、薬剤師としてどのように考察するかを表すため、私は指導薬剤師から多くのアドバイスをもらいました。Pは次回どこを確認すべきか、どんな説明を行ったかなどを書いておく部分です。
実習中はとにかく書く量が多いため、事前にSOAPの基本を理解しておくと大きく差がつくと思います。
Q 実習前に知識として持っておくべき領域はありますか
A
8大疾患は必ず頭に入れておくべきです。
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がん
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急性心筋梗塞
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脳卒中
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高血圧症
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糖尿病
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慢性腎不全
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肝硬変
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慢性膵炎
薬局でも病院でも必ず問われますし、国家試験でも出題されます。特に薬局では高血圧と糖尿病の患者さんが非常に多いため、薬の名前、作用機序、重要な副作用、併用禁忌などは理解しておくと実習の質が変わります。
例えば高血圧では、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARBなど多くの種類があります。それぞれの違い、腎機能や肝機能が低下している場合に使える薬と使えない薬などを理解しておけば、服薬指導でもスムーズに説明でき、薬剤師さんからも評価されます。
病院ではより重症度の高いがんや慢性心不全、肝硬変などの疾患が多いため、ある程度の知識を事前に入れておくと実習がかなり楽になります。実習先によっては厳しい薬剤師さんもおられるため、基礎知識があるだけで印象も大きく変わります。
Q 検査値についてはどの程度理解しておけば良いでしょうか
A
検査値は、少なくとも肝臓、膵臓、血液系、血糖値、コレステロール値などは理解しておくことをおすすめします。基準値が提示されていない実習先もあるため、自分で数値の意味を把握しておく必要があります。
その数値が何を示すものなのか、上昇すると何が問題なのかを理解しておくと、患者さんの状態をより深く考えられます。例えば、クレアチニンは筋肉の代謝産物であり、再吸収されなければ血液中に残って上昇するなど、仕組みと結びつけて覚えると理解が早くなります。
同時に、薬の排泄経路が腎臓か肝臓かも把握しておくとよいです。排泄経路の臓器が機能低下している場合、その薬は代謝されず体に悪影響を及ぼす可能性があるためです。
Q 実習では患者さんとのコミュニケーションも重要だと思いますが、準備しておくことはありますか

A
コミュニケーション能力は本当に重要です。実習では必ず患者さんと直接話しますので、丁寧な言葉遣い、礼儀正しさ、誠実な対応が求められます。
話すことが苦手な方は、OSCEで学んだ内容を思い出し、患者さんがどんな質問をしてくるかを想定して服薬指導を行うと緊張が和らぎます。横には必ず薬剤師さんがいるため、分からないことは正直に聞き、その後しっかり復習する姿勢が大切です。
コミュニケーションに自信がある方は、薬の説明をどのようにすれば理解しやすいか、副作用を怖がらせないようにどう伝えるか、患者さんが不安を抱いた時にどんな声掛けをするかなど、一歩上の視点で考えてみると質の高い服薬指導ができます。
Q 最後に、実習前に身につけておくべき調べ物のスキルはありますか
A
医薬品情報の調べ方を理解しておくことです。添付文書のどこに何が記載されているか、インタビューフォームの探し方、お薬手帳の情報の見方などは、実習中に必ず必要になります。
薬剤師でも全ての薬の知識を覚えているわけではありません。患者さんに質問された際には、添付文書を確認し、正しい情報を伝える必要があります。薬の半減期などをグラフで説明することもあるため、情報の所在を理解していると説明もしやすくなります。
経験だけに頼って曖昧な情報を伝えるのは危険です。正しい情報収集の方法を身につけ、一次資料や二次資料を適切に使えるようにしておくと、実習の質が大きく向上します。