薬学生就活!品質管理職ってどんな仕事!?

- 薬学生就活前に知っておきたい!薬学生が選ぶ品質管理職というキャリア
薬学生の就職できる選択肢はたくさんあります。特に企業薬剤師については、複数の選択肢がありますので、今回は「品質管理職」をご紹介します。

品質管理(Quality Control: QC)とは
■仕事内容
「医薬品を製造する工程」で、定められた基準(有効性、安全性、均一性など)を満たしているか試験をして確認する業務です。具体的には、医薬品等を作る基になる原料の受け入れ試験、製造途中の中間製品の試験、最終的に製造された製品の試験、安定性試験(製品の有効期限内の品質が保たれるかの確認)、試験する方法の設定・改善などを行います。
■やりがい
自身の分析技術や科学的知識を駆使して、製品の安全面における最後の砦としての役割を果たすことに大きなやりがいを感じられます。また、問題が発生した時の原因究明を通じて、品質改善に貢献できる点も魅力となります。
■会社でのポジション
製造現場にと密接に関わり、製品の出荷可否を判断する重要な役割を担います。科学的根拠に基づき、品質を担保するための試験の実行役となります。
■適性がある人
実験や分析が好きな人、探求心がある、正確に作業をしたい、集中力がある、地道な作業が好き、粘り強い、論理的に考えることが好きな人は適性があります。
※検査している女性か男性の写真をお願いします。
品質保証(Quality Assurance: QA)とは
■仕事内容
「製品の製造から出荷、販売後の全工程」が、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)やGMP(Good Manufacturing Practice: 製造管理及び品質管理の基準)などの規制や社内規定に適合しているかを保証・管理する仕事です。具体的には、製造手順書の作成と管理、逸脱や変更の管理、従業員への教育訓練、監査(実施する側、される側の両方の窓口)、苦情対応、回収対応(リコール)など、製品の品質システム全体を統括します。
■やりがい
製品の品質に問題が発生しないために、事前の防止策を作り上げることに、高い視座とマネジメント能力が求められます。法令遵守(コンプライアンス)という視点から、会社の事業継続性に貢献しているという責任感は大きくやりがいを感じることが出来ます。
■会社でのポジション
製造・開発を含む全部門を横断的に監視・指導する独立した立場です。また、経営層に近い視点でリスク管理を行うため、品質システムを担保する司令塔や監査役のような立ち位置になります。
■適性がある人
文書作成が好きな人、高い倫理観がある、責任感が強い、コミュニケーション能力がある、読解力がある、多角的な視点を持っている、冷静な判断力が出来る、交渉力がある人は適性があります。
品質管理(QC)と品質保証(QA)の仕事の違い
品質管理:科学的・技術的な側面から製品の品質を保証する。
品質保証:システム的・管理的な側面から品質を保証する。
| 項目 | 品質管理(QC) | 品質保証(QA) |
| 管轄範囲 | 製品自体の品質 | 製品が生み出される一連のプロセス(仕組み)の品質 |
| 役割 | 試験・検査による品質の確認 | 仕組みづくりと監査による品質の保証 |
| 業務のタイミング | 製造時(試験、検査) | 製造前から販売後までの全工程 |
| 具体的な業務 | 試験分析、データ解析、規格設定(技術面) | 監査、文書管理、逸脱/変更管理、教育訓練、法規制対応 |
大手企業と中小企業での業務内容の違い
■大手企業
業務効率を考えているため品質管理や品質保証の各部門内でも担当業務が細分化されます(例:品質管理でも原料試験専門、製品試験専門、安定性試験専門など。品質保証でも文書管理専門、監査専門などに分かれています)。グローバルな規制対応(FDA、EMAなど)や海外工場との連携が多く、高度な専門知識や英語力が求められる機会が多く、大規模なシステム管理や高度な分析機器に携わる機会があります。
■中小企業
1人当たりの担当業務の範囲が広くなりやすく、品質管理と品質保証を兼任しながら品質管理部門内で複数の試験を担当することもあります。多岐にわたる業務経験を積むことができますが、幅広い知識と柔軟な対応力が求められます。経営層との距離が近く、品質システム全体の構築により深く関与できる可能性があります。
製薬企業以外で品質管理・品質保証が必要な職務
医薬品と同様に人々の生命・健康に関わる製品を扱う業界や、高度な信頼性が求められる業界では、品質管理・品質保証の職務が不可欠です。
- 医療機器メーカー :医療機器の品質管理・保証
- 食品・飲料メーカー:HACCPやISOなどの衛生・品質管理、製品試験
- 化粧品メーカー :医薬品に準じた品質管理体制
- 化学・素材メーカー:製品の規格試験、製造プロセスの品質保証

大学の時に経験しておくと良いこと、就職活動で役立つこと
■品質管理
薬機法、GMP、GQP、GVPなどの基本的な法規制の知識を自主的に学習し、医薬品の安定性や製剤設計に関する知識を深める。分析化学、物理化学など、機器分析の原理を深く理解する。HPLC(液体クロマトグラフィー)、GC(ガスクロマトグラフィー)などの分析機器の操作経験とトラブルシューティング能力。実験ノートなど作成を規定通りに厳格に行う経験。QC検定(4級または3級を学んでおくと本気度が伝わりやすくなります。)
■品質保証
薬機法、GMP、GQP、GVPなどの基本的な法規制の知識を自主的に学習し、医薬品の安定性や製剤設計に関する知識を深める。アルバイトやサークルでルールを守らせる役割を担った経験、問題解決能力やコミュニケーション能力を高めること。研究計画の立案からデータ解析、結果の報告など一連の流れを論理的に進める経験。
新卒で就くメリット、転職で就くメリット
■新卒
品質管理
基礎的な分析技術とGMPの考え方を体系的に学べる。ルーティンワークを通じて正確性と集中力を徹底的に鍛えられる。品質保証部門への異動など、将来的なキャリアパスの幅が広がる。
品質保証
会社の品質システム全体を若いうちから把握できる。法規制への適合という高い視点と俯瞰的な思考を身につけられる。品質管理や製造など他部署の業務理解が進みやすい。
■転職
品質管理
前職の経験(例:開発部門での分析経験、他業界での品質管理経験)を活かし、より高度な試験法開発や管理職として入社できる可能性がある。
品質保証
他部門(製造、開発など)での経験や他業界での監査経験などが即戦力となり、マネジメント層や専門性の高いポジション(例:グローバル品質保証、GCP/GLPの品質保証)での採用につながりやすい。
※薬局・病院・ドラッグストアからの転職では、経験を活かせる機会が少ないため30歳までにキャリアチェンジすることをお勧めします。

品質管理(QC):1日の業務の流れ
| 時間帯 | 業務内容 | 備考 |
| 8:30 | 始業、朝礼、試験計画の確認 | 連絡事項の共有、担当製品の試験計画、機器の稼働状況を確認。 |
| 9:00 | サンプリング、試験準備 | 製造現場から中間製品サンプルを適切に採取し、分析機器の立ち上げ、試薬の調製。 |
| 10:00 | 製品試験の実施 | 例:HPLCによる有効成分の定量試験、溶出試験、pH測定など。 |
| 12:00 | 昼食・休憩 | - |
| 13:00 | 試験の継続・データ解析 | 試験が終了したサンプルのデータ処理、規格への適合性判断。 |
| 15:00 | 逸脱が発生した時の対応 | 規格外や傾向外データが出た場合、すぐに上長に報告し、原因調査の初期段階(機器や手順の再確認)に着手。 |
| 17:00 | 試験結果の文書化 | 試験結果を試験記録書に正確に記載、上長の承認を得る。機器の洗浄・後片付け。 |
| 18:00 | 終業 | 必要に応じて残業、翌日の準備。 |
品質管理の業務特有の大変さ
- ルーティンワークが多く、集中力を常に高いレベルで保つ必要がある。
- 分析機器のトラブルや試薬のロット差などで、試験が計画通りに進まないことがある。
- 規格外の結果が出た場合、深夜まで原因究明を迫られる可能性がある。
- 製造スケジュールに合わせて迅速かつ正確な試験結果を求められる。
品質保証(QA):1日の業務の流れ
| 時間帯 | 業務内容 | 備考 |
| 8:30 | 始業、メールチェック、法規制情報の収集 | 最新のGMP、GQP関連の通知や業界動向を確認。 |
| 9:30 | 逸脱(Deviation)案件のレビュー | 製造現場や品質管理から報告された逸脱について、原因調査の妥当性や是正予防措置(CAPA)の適切性を確認・承認。 |
| 11:00 | 製造記録の照査・出荷判定 | 製造・試験記録書を全て確認し、製品が出荷基準を満たしているか(GQP)を最終的に保証する。 |
| 12:00 | 昼食・休憩 | - |
| 13:00 | 変更管理委員会への参加 | 製造手順や設備の変更について、品質への影響を多部署と議論し、承認。 |
| 15:00 | SOP(標準作業手順書)の改訂 | 監査結果や法改正に基づき、文書の作成・改訂を行い、関連部署と調整。 |
| 16:30 | 外部監査(当局査察・取引先監査)準備 | 提出資料の確認、質問応答のシミュレーション。 |
| 18:00 | 終業 | - |
品質保証の業務特有の大変さ
- 他部署との意見の対立や交渉が多い(例:製造部門は効率を重視し、品質保証は厳格なルールを重視するため)。板挟みになることが多い。
- 問題発生時の最終的な責任を負うことが多く、精神的なプレッシャーが大きい。
- 膨大な文書を正確かつ迅速に読み込み、多角的な視点で判断を下す必要がある。
- 常に最新の法規制を把握し、会社全体に適用させる仕組みづくりが求められる。
将来のステップアップや昇給イメージ
製薬企業の品質部門は、専門知識と倫理観が求められる、非常に安定した、重要なポジションです。
| 役職 | 品質管理部門のキャリアパス | 品質保証部門のキャリアパス |
| 新卒〜3年 | 分析担当者として、基本的な試験・機器操作を習得し、正確性を磨く。 | OJTを通じて、文書管理や逸脱管理のプロセスを学ぶ。 |
| 4年〜7年 | チームリーダー/専門担当者。試験法のバリデーションや逸脱の原因究明を担当。高度な分析スキルを身につける。 | 専門担当者/国内監査担当。GQP/GMPの専門知識を深め、社内教育や部門間調整を担う。 |
| 8年〜15年 | 課長/マネージャー。品質管理部門の運営管理、人材育成。品質保証部門への異動もキャリアパスとして一般的。 | 課長/マネージャー。全社の品質システム維持・改善、当局査察対応の責任者。GVP(安全管理)などへの異動も可能性あり。 |
| 15年〜 | 部長/品質部門長。品質保証責任者(責任役員クラス)や薬事部門など、より経営に近いポジションへ。 | |
昇給イメージ
昇給 :役職が上がるにつれて、給与は大きく昇給します。特に課長クラス以上になると、品質システム全体への責任の大きさから、企業によっては優遇される場合があります。
専門性 :行政からの監査対応やグローバル監査など、高度な専門性を身につけた人材は、転職市場でも価値が高く、より高い給与を得られる可能性があります。

内資系企業と外資系企業における品質管理・品質保証の違い
| 項目 | 内資系製薬企業 | 外資系製薬企業 |
| 意思決定 | トップダウンかつ事前の合意形成を重視。関係部署との調整に時間をかけ、慎重に進める傾向。 | ボトムアップかつスピーディー。本社(グローバル)の指示や提案が迅速に評価され、個人の裁量が大きい場合がある。 |
| 品質システム | 日本の規制(主に薬機法、GMPやGQP)への適合を最優先。文書や手順書が日本語ベース。 | グローバル本社の統一された品質システムがベース。日本の規制とグローバルシステム双方への適合が求められる。 |
| 文書・コミュニケーション | 日本語中心。国内の工場や部署との連携が主。 | 英語が必須または頻繁に使用される。グローバル本社や海外工場との英語でのコミュニケーションが多い。 |
| キャリア | ジョブローテーションを通じて、品質管理→品質保証→製造・開発など幅広い経験を積ませる傾向。長期的キャリア育成。 | ジョブディスクリプションが明確で、専門性を追求する傾向が強い。成果主義が強く、スキルアップ次第で早期昇進の可能性。 |